ゴキブリの死骸は、一度も触らずに片づけられます。道具を使えば手に感触が伝わることはありませんし、どうしても無理なら家族に頼んでも、業者に来てもらってもかまいません。
先に結論だけまとめます。
- 上から何かをかぶせて、視界から消す
- 触らずに包む、または閉じ込める(家にあるもので足ります)
- 袋に入れて口を縛り、可燃ゴミへ
- あった場所を拭く
この4つです。「本当に死んでいるか確認する」は入っていません。確認しなくて済む順番にしてあるからです。3と4を飛ばしてしまう人が多いので、そこだけ後で詳しく書きます。
正直に書くと、私は自分で処理できません。
見ないように何かに包んでゴミ箱に入れるか、たいていは家族に頼んで家の外に出してもらっています。何年も対策の記事を書いていても、そこは変わりませんでした。だから「ゴム手袋をしてトングでつまみましょう」から始まる説明を読むたびに、そこから先に進めない気持ちはよく分かります。
そして後から知ったのですが、私がやっていた2つの方法は、どちらもあまり良くない片づけ方でした。その理由はNGな捨て方の章で書きます。責めるつもりはまったくなくて、私自身が知らずにやっていたことです。
もうひとつ、この記事でいちばん伝えたいことがあります。
そもそも死骸を目にする回数は、減らせます。
どの駆除方法を選ぶかで、遭遇する場面の数が変わってくるからです。これを知ってから、私は道具の選び方を変えました。詳しくは後半にまとめています。
では、いちばん高い壁になっているところから始めます。
ゴキブリの死んだふりは確認しなくていい|近づかずに済ませる方法
生きているかどうかは、確かめなくて大丈夫です。
多くの記事は、処理の前に生死を確認するよう書いています。触角の様子を見る、姿勢を見る、もう一度殺虫剤をかけてみる。どれも間違いではありません。ただし全部、近づいてじっと見ないとできません。
見られない人にとっては、そこが最初の壁になります。そして殺虫剤をもう一度かける方法は、トイレや脱衣所のような狭い場所だと自分が薬剤を吸い込みやすく、小さなお子さんがいる家ではおすすめできません。
確認が必要になるのは、「生きていたら困る方法」で片づけようとするからです。
先に上から何かをかぶせてしまえば、判断そのものが要らなくなります。
かぶせるものは、家にあるもので足ります
- プラスチックの空き容器(お惣菜の容器、アイスのカップ、使い終わった保存容器)
- 紙コップ、空き箱
- ボウル、洗面器
- 折りたたんだ広告紙やチラシ(何枚か重ねると安心です)
深さより、面積があるものを選んでください。ふちが浮くとすき間ができるので、口が広くて、床にぴたりと置けるものが向いています。かぶせたあと、上に本や雑誌を1冊のせておくと確実です。紙を使う場合も、何枚か重ねてすき間ができないようにしてください。
捨ててもいいものを使うのがおすすめです。あとで洗う手間がなくなりますし、そのまま処分できます。ボウルや保存容器のように後で使うものを選んだ場合は、洗剤と流水で洗って乾かしてから戻してください。
かぶせたあと、すぐに片づけなくて構いません
そのまま置いておけます。
気持ちが落ち着くまで、数時間でも、翌日でも構いません。上に何かがかぶさっていれば、見えるのは容器だけです。
家族に頼むつもりなら、かぶせておくのがいちばん親切です。帰ってきた人が探さずに済みます。私の家では「そこ、お願い」と場所だけ伝えて終わりです。
ここまでで、いちばん高い壁は越えています。次は、かぶせたものを袋に入れるところです。
📎 補足:なぜ多くの記事が「確認」をすすめるのか
生死の確認が定着しているのは、片づけたつもりで取り逃がすと、また同じ場面が来てしまうからです。目的は「安全な処理」というより「取り逃がしの防止」にあります。先にかぶせて閉じ込める方法なら、その心配自体が小さくなるので、確認の必要がありません。
ゴキブリの死骸を触らずに処理する5つの方法
どれも、家にあるもので足ります。上からかぶせた状態のまま進められる順に並べました。上にあるものほど、目に入る場面が少なくて済みます。
① 容器ごと袋に入れる(いちばん見ないで済む方法)
かぶせた容器を持ち上げず、そのまま袋に入れてしまう方法です。
レジ袋やゴミ袋を大きく広げ、容器の上から袋をすっぽりかぶせて、袋の中で容器を横に倒すようにすると、床から離すときにこぼれにくくなります。使い捨てできる容器を選んでおくと、そのまま袋ごと処分できます。
最後まで中を見ずに終われるのが利点です。
② ガムテープや養生テープで貼り付ける
テープを長めに切って、粘着面を押し当てて貼り取る方法です。手が届く範囲まで近づく必要はありますが、感触は伝わりません。
30cmほど長めに切るのがコツです。短いと指が近くなります。貼り付けたら、テープを二つ折りにして粘着面同士を閉じてしまえば、外からは見えなくなります。
コロコロ(粘着カーペットクリーナー)でも同じことができます。柄がある分、距離が取れます。
③ 紙やチラシで包む
広告紙や新聞紙を何枚か重ねて包む方法です。厚みがあるほど感触は伝わりません。
私が長いことやっていたのはこれです。見ないように包んで、そのままゴミ箱へ入れていました。ただしこのやり方には抜けがあって、後の章で書きます。包むところまでは問題ありません。
④ トングや火ばさみを使う
距離を取れるのが最大の利点です。100円ショップに40cm前後のトングがありますし、屋外掃除用の火ばさみならもっと長いものもあります。
そのまま挟むのが厳しければ、上からティッシュや紙をかぶせてから、その紙ごと挟みます。挟む瞬間を見ずに済みます。
調理用と兼用にはせず、この用途専用のものを分けてください。
⑤ 虫取り用の専用グッズを常備する
触らない前提で作られた道具が市販されています。かぶせて閉じ込めるタイプ、粘着で取るタイプ、掃除機のノズルに付けて中に入れずに回収するタイプなどがあります。
値段は数百円から。「そのときになったら考える」がいちばん危ないので、苦手な自覚がある人は先に1つ買っておくのが現実的です。私も出てから慌てて買いに走った経験があります。
どれを選んでも、このあと2つやることが残ります。袋の口を縛ること、そして場所を拭くことです。ここを飛ばすと片づけが完了しません。
どうしても処理できないときの3つの逃げ道
片づけられないこと自体は、問題ではありません。
放置がよくないのは事実ですが、それは「自分の手で今すぐやる」という意味ではありません。上からかぶせて閉じ込めた時点で、いちばん困る状態からは抜け出しています。あとは方法を選ぶだけです。
① 誰かに頼む
いちばん現実的です。同居している家族、近くに住む親、来てくれる友人。
頼むことに引け目を感じる必要はありません。私は毎回そうしています。虫が平気な人にとっては数十秒で終わる作業なので、こちらが思うほどの負担ではないことがほとんどです。
すぐに来られない相手でも大丈夫です。かぶせておけば、待っている間に困ることはありません。
② 今日は片づけない、と決める
先送りは、ちゃんとした選択肢です。
かぶせて上に重しをのせた状態なら、そのまま翌日でも、週末でもかまいません。夜中に見つけて眠れなくなるくらいなら、明るくなってから手をつけたほうがずっと落ち着いてできます。
大事なのは、「今はやらない」と自分で決めることです。見ないふりで一日が終わるのと、決めて置いておくのとでは、気持ちの残り方がまったく違います。
ひとつだけ気をつけたいのは、小さなお子さんやペットがいる家です。触れる可能性がある場所なら、先送りは避けてください。かぶせた容器はお子さんにとって気になるものになります。
③ 業者に頼む
自分で片づけられない状態が続くなら、これがいちばん確実です。
ただし正直に書くと、死骸を1つ回収するためだけに来てもらえるかは、業者によります。現実的なのは、駆除の作業として依頼して、そのときに部屋の中を見てもらう形です。
そのほうが結果的に得られるものも大きくなります。死骸が出たということは、屋外から入ってきた可能性のほか、室内で増えている可能性もあります。どちらなのかを見てもらえます。
賃貸で、建物側の不具合(配管まわりのすき間、共用部からの侵入など)が疑われる場合は、先に管理会社に連絡すると費用が出ることがあります。自分で業者を呼ぶ前に、一度聞いてみる価値はあります。
費用の相場や業者の選び方は、こちらにまとめています。
▶ ゴキブリ駆除業者のおすすめ2選と料金相場|ぼったくりを避ける選び方
ゴキブリの死骸のNGな捨て方4つ|掃除機・トイレ・屋外・そのままゴミ箱
片づけ方によっては、やり直しになることがあります。どれも珍しい方法ではなく、多くの人がやっているものです。
① 密閉せずにゴミ箱へ入れる
包んだだけで袋を縛っていない状態です。
私が長年やっていたのがこれでした。見ないように包んで、そのままゴミ箱へ。包むところまでは合っていて、最後のひと手間が抜けていました。
ゴキブリ由来のアレルゲンは、フン、唾液、脱皮殻、死骸の破片などに含まれます。乾燥して細かくなったものが室内に残ると、アレルギーのある人では症状のきっかけになることがあります。ゴミ箱の中で崩れれば、フタを開けるたびに舞い上がることになります。
包んだあと、袋に入れて口を縛る。これだけで解決します。
② ベランダや庭に放り出す
家の外に出すこと自体は問題ありません。袋に密閉して家庭ゴミに出すのは正しい方法です。
問題になるのは、そのまま屋外の地面やベランダに放るときです。風で飛んだり、ほかの虫や動物が触れたりして、衛生面でも見た目の面でも好ましくありません。集合住宅の共用部だと、近隣とのトラブルになることもあります。
家族に頼むときは、「袋に入れて縛ってから、ゴミに出して」まで伝えると確実です。私はここを言っていませんでした。捨て方は自治体によって決まりが違うので、お住まいのルールを確認してください。
③ 掃除機で吸う
見ないで済む方法に見えますが、後始末が残ります。
吸ったあとに、ダストカップや紙パックの処理と、ノズルの掃除が必要になります。とくにサイクロン式は、中身を捨てるときにもう一度見ることになるので、虫が苦手な人には向きません。
使うなら紙パック式で、使用後すぐにパックを取り出し、袋に入れて密閉して処分してください。そのまま使い続けると、内部に残ったものが気になることになります。
④ トイレや排水口に流す
流してしまうと、処理できたかどうかが確認できません。水に溶けるものではないので、配管の中に残る可能性もあります。
自治体の分別ルールにも沿いません。紙などに包んで袋の口を閉じ、可燃ゴミに出すほうが確実です。
▶ 卵鞘(卵の入ったカプセル)の見分け方と処分の仕方はゴキブリの卵を見つけたら?正しい処分5ステップとNGな捨て方にまとめています。
4つに共通しているのは、「見えなくなった=片づいた」ではないという点です。袋に入れて縛り、可燃ゴミへ。これがいちばん確実で、いちばん簡単です。
ゴミの日まで日数があるときの保管
夜に片づけて、次の可燃ゴミが3日後。よくある状況ですが、これを書いている記事はほとんどありません。
結論から言うと、紙に包んで袋の口を閉じ、さらに外袋に入れておけば大丈夫です。特別なことは要りません。
二重にする
袋を1枚足すだけです。
包んだものを袋に入れて口を縛り、その袋ごともう1枚の袋に入れて、また縛る。これでにおいが気になることをかなり減らせますし、袋が破れても外に出ません。
レジ袋で構いません。厚手のものが1枚あれば、それだけでも十分です。
置き場所は「子どもとペットが触れない・食品から離す・涼しい」
気温が高いほど、においが出るのが早くなります。夏場に窓際やベランダに置くと、翌日には気になり始めることがあります。
お子さんやペットの手が届かず、食品から離れた場所を選んでください。キッチンのゴミ箱の中は避けたほうが無難です。フタを開けるたびに視界に入りますし、生ゴミと一緒になります。
集合住宅では、共用部やベランダに物を置くことについて建物ごとの決まりがあります。自治体と建物のルールに従ってください。
冷凍庫に入れる方法は、すすめません
「冷凍すれば無臭で保管できる」と紹介されていることがあります。理屈としては間違っていませんが、食品を入れる場所です。袋が破れる可能性を考えると、割に合いません。
数日待つのが嫌なら
自治体や建物によっては、可燃ゴミの日以外に出せる場所があります。集合住宅の24時間ゴミ置き場や、地域のゴミステーションなどです。
夏場でにおいが気になるときは、早めに指定の集積所へ出せるか確認してみてください。
📎 補足:においの正体
死骸そのものが強く臭うわけではありません。時間が経つと分解が進み、そこで生じる成分がにおいとして感じられます。気温が高いほど早く進むため、夏場は保管期間が短いほど楽です。逆に冬場なら、数日置いても気にならないことが多いようです。
捨てて終わりではない|死骸の周りで確認する2つのこと
袋を縛った時点で、まだ半分です。残っているのは、その場所の確認と拭き取りです。どちらも1分で終わります。
① 小豆のようなカプセルが落ちていないか
卵鞘(らんしょう)です。卵が20個前後まとめて入った、硬いカプセルのことです。茶色から黒に近い色で、小豆を縦半分に割ったような形をしています。
卵鞘の扱いは種類によって違います。物陰に産み付けて置いていくものもいれば、孵化の直前まで持ち運ぶものもいます。そのため、死骸の近くや周囲のすき間に残っていることがあります。
床に落ちているとはかぎりません。私は実家の和室で、ふすまの上のほうに付いているのを見つけました。ゴミか葉っぱかと思って近づいて、そうではないと分かったときの衝撃は忘れられません。
卵鞘は硬い殻に覆われていて、薬剤が届きにくいことがあります。見つけた場合は、死骸と同じように紙やテープで回収して、袋の口を閉じて処分するほうが確実です。無理のない範囲で構いません。
▶ 処分の手順はゴキブリの卵を見つけたら?正しい処分5ステップとNGな捨て方にまとめています。
② 黒い粒や、細い筋のような汚れがないか
フンです。米粒より小さい黒い粒か、細いペンで線を引いたような跡として残ります。
ここは見過ごされやすいのですが、拭き取っておく価値があります。ゴキブリは、フンなどに含まれる化学物質を手がかりに、仲間がいた場所へ集まりやすくなることが知られています。この物質は集合フェロモンと呼ばれ、福岡大学の研究グループが2020年に、これを受け取る感覚細胞を特定した研究を発表しています。
衛生面から見ても、再発を防ぐという意味でも、残しておく理由はありません。
▶ ゴキブリのフンを見つけたら?触る前に確認したい5つのこと
拭き取りは、使い捨てのペーパーで
目に見える汚れを取り除くことが目的なので、家庭用の中性洗剤でも、アルコール製品でも構いません。
死骸やフンがあった場所を、使い捨てのペーパーで拭き取り、そのまま捨てます。乾いた粉のようになっている場合は、湿らせたペーパーのほうが舞い上げずに済みます。使い捨ての手袋があれば使い、なければ拭いたあとに石けんで手を洗ってください。
洗剤やアルコールを使うときは、素材と製品表示を確認してください。食品に触れる場所や、お子さんが舐める可能性のある床は、最後に水拭きしておくと安心です。
布巾は使わないでください。そのまま洗濯機に入れると、汚れを他のものへ広げることになります。
赤ちゃんが床で過ごす家庭では、ここがいちばん大事な工程です。床面に近いところで過ごす時間が長いぶん、乾いて細かくなったものに触れる機会も増えると考えられます。
ここまでで片づけは完了です。次からは、そもそもこの場面を減らす話に移ります。
触ってしまった/子ども・ペットが触れたとき
まず、落ち着いて大丈夫です。ただ、やっておくといいことと、相談したほうがいい場面ははっきりしています。
自分が素手で触ってしまったとき
石けんで手を洗ってください。アルコールだけで済ませず、流水と石けんで洗うほうが確実です。
ゴキブリは配管の中や排水まわりを行き来しているため、サルモネラ菌などの病原菌を体の表面に付けて運ぶことがあると説明されています。触ったこと自体より、その手で口や食べ物にさわることのほうが問題になります。洗ってしまえば、そこで終わりです。
靴下や衣類に付いた場合は、そのまま洗濯機に入れないでください。他の衣類に広げることになります。捨てるか、単独で手洗いしてから洗ってください。
赤ちゃんや小さなお子さんが触った・口に入れたとき
口の中に残っているものを取り除き、手を洗ってください。
そのうえで、無理に吐かせないでください。吐かせようとすると、かえって気管に入る危険があります。
呼吸が苦しそう、ぐったりしている、繰り返し吐く、けいれんがある。このときは119番へ。
そうした症状がない場合でも、年齢や量、殺虫剤がかかっていたかどうかで対応が変わります。自己判断せず、小児科、こども医療でんわ相談(#8000)、または中毒110番に相談してください。
中毒110番(一般専用・365日24時間)
大阪 072-727-2499/つくば 029-852-9999
情報提供料は無料です(通話料は自己負担)。ゴキブリなど衛生害虫に関する相談も対象に含まれています。
殺虫剤がかかった状態のものを口にした可能性があるときは、使った製品を手元に置いて相談してください。成分が分かるほうが話が早く進みます。
犬や猫が食べてしまったとき
死骸そのものより、殺虫剤の成分や付着量が問題になることがあります。
製品名・成分・食べた量・時間を控えておいてください。とくに猫、子犬や子猫、体調のよくないペットでは、早めに動物病院へ相談してください。
震え、よだれ、嘔吐、ふらつき、けいれんなどが見られる場合は、すぐに受診してください。
猫は、殺虫剤に広く使われるピレスロイド系の成分を代謝しにくいことが知られています。ただし影響の大きさは製品や量によって変わるので、心配なときは自分で判断せず、動物病院に確認するのが確実です。
▶ ペットがいる家の薬剤の選び方はペットがいる家のゴキブリ対策|犬・猫に安全な方法と危険な殺虫剤の見分け方にまとめています。
📎 補足:なぜ「吐かせない」なのか
吐かせる処置が有効なのは限られた場面だけで、家庭では判断が難しいのが実情です。吐いたものが気管に入ると、そちらのほうが重い問題になります。飲み込んだものが何であっても、家庭で吐かせるのは基本的にすすめられません。迷ったら電話で聞く、が最短です。
ゴキブリの死骸が消えた・見つからないとき
探さなくて大丈夫です。
倒したはずなのに見当たらない。この状態でいちばんつらいのは、家じゅうを探し回ることになる点です。結論から言うと、探さなくてもやることは同じです。
見つからない理由はいくつもあり、特定できません
家具や家電のすき間に入って見えなくなっている、家族が先に片づけた、殺虫剤が届ききっていなかった。理由を突き止めても、次にやることは変わりません。
床を這って隅を覗き込む作業は、精神的な負担が大きいわりに得るものがありません。そこに時間を使うより、次の3つに切り替えてください。
やることは3つだけです
① その場所を拭く
見つからなくても、そこを通った跡は残ります。使い捨てのペーパーで拭いて捨てる。それだけです。
② ベイト剤(毒餌)を置く
見えないところにいるなら、こちらから探しに行くのではなく、向こうから食べに来てもらうほうが負担がありません。
置き場所は、壁ぎわ、冷蔵庫の裏、シンク下、家具のすき間。部屋の真ん中には置かないでください。置ける場所や個数は製品によって違うので、ラベルの記載に従ってください。
▶ 置き方と個数はブラックキャップの置き場所と個数は?効果が出る期間も看護師ママが解説にまとめています。
③ そのうちにおいで分かることがあります
数日後に、その付近で気になるにおいがすることがあります。そのときに場所が分かるので、改めて片づければ十分です。先回りして探す必要はありません。
一晩たっても気になるなら
寝室で見失った場合は、部屋を変えることを考えてください。
「気にせず寝ましょう」とは言いません。私は無理です。ドアの下をタオルで塞いで別の部屋で寝る、というのはきちんとした対処です。
▶ 寝室にゴキブリが出た!見失った夜の応急処置と二度と出さない対策
そもそもゴキブリの死骸を見なくて済む方法はある?
回数を減らすことはできます。ゼロにする方法はありませんが、選ぶ道具で変わります。
スプレーで仕留めると、必ず自分で片づけることになる
当たり前のようですが、ここが分かれ目です。
目の前で仕留めるということは、目の前に残るということです。倒した直後の、いちばん気持ちが動転しているタイミングで、片づけまで自分がやることになります。
スプレーが悪いわけではありません。今そこにいるものを止める手段としては確実です。ただ、これを主役にしている限り、片づけの場面はセットで付いてきます。
ベイト剤は、遭遇する場面が減ることがあります
食べに来るのを待つ方式なので、こちらが立ち会う必要がありません。
ベイト剤は、隠れた場所にいるゴキブリにも届きやすく、スプレーより遭遇の場面を減らせることがあります。ただし、食べた個体が室内で力尽きることもあるため、死骸をまったく見なくなるわけではありません。
ホウ酸を使った製品では、メーカーが「水を求めて屋外へ出ていくことが多く、屋内で死骸をあまり見ずに済む」と説明しています。ただし同じメーカーが「まれに死骸を見ることがある」とも書いています。製品の説明であって、どの家でもそうなるという話ではありません。
「絶対に見ない方法」はない。でも「見る回数を減らせることがある」。これが正確なところです。
赤ちゃんやペットがいる家で気をつけること
ホウ酸も殺虫成分も、誤って口に入れば健康上の問題が起こり得ます。容器に入っていれば安全、というものではありません。
そのうえで、自作のホウ酸団子や、薬剤をむき出しで置く方法は避けてください。手が届く場所には置かず、設置場所・個数・注意事項は製品のラベルに従ってください。
▶ 詳しくは赤ちゃんがいる家のゴキブリ対策|看護師ママが安全性にこだわった方法を7つ解説【画像なし】にまとめています。
入ってこられなくすることが、遠回りのようで確実です
ベイト剤は、入ってきたものへの対処です。入り口が開いたままなら、また次が来ます。
排水口まわり、エアコンのドレンホース、玄関や窓のすき間。ここを塞ぐのが、片づけの回数をいちばん減らします。
▶ ゴキブリの侵入経路がわからない…見落としがちな7つの穴と塞ぎ方チェックリスト
死骸が1匹出た=大量発生のサイン?
必ずしもそうではありません。
「1匹見たら100匹いる」という言葉のせいで、死骸を1つ見つけただけで家じゅうがそうなっていると感じてしまいます。でも死骸の場合は、見つけた状況で意味がかなり変わります。
まず、種類で分かれます
小さくて茶色いものだった場合は、屋内で増えている可能性があります。チャバネゴキブリは、日本では暖かい屋内環境に定着して繁殖しやすい種類です。この場合は「他にもいる」と考えて動いたほうが確実です。
大きくて黒っぽいものだった場合は、外から入ってきた1匹の可能性があります。クロゴキブリは屋外でも生活していて、家の中に入ってくるタイプです。1匹だけということも普通にあります。
▶ 家に出るゴキブリの種類|4種の見分け方と種類別の対策ガイド
とはいえ、片づけたあとに種類を思い出せる人は少ないと思います。分からなければ、次の項目で判断してください。
死骸「以外」に何かあったかどうかが分かれ目です
判断材料はここです。
- フンらしき黒い粒や筋があった → 通り道になっている可能性があります
- 卵鞘が落ちていた → 産卵できる環境が家の中にあるかもしれません
- 死骸だけで、他に何もなかった → 迷い込んだ1匹の可能性があります
フンや卵鞘が繰り返し見つかる場合は、室内で活動・繁殖している可能性を考えます。1回だけなら、通っただけかもしれません。
ベイト剤を置いてあるなら、効いた合図の場合もあります
設置してしばらくの間に死骸を見た場合は、そういうことがあります。
慌てて増えたわけではなく、いたものが減っている途中かもしれません。この時期に何度か見ることがありますが、そのまま続けてください。途中で外すと、食べ切っていないものが残ります。
どちらか分からないときは、粘着トラップで確かめられます
ベイト剤は、外から見ても減り具合が分からない製品が多いので、生息状況の確認には向きません。
確かめたいときは、壁ぎわや冷蔵庫の脇に粘着トラップを置いて、数日から1週間ほど様子を見てください。捕獲が続く、小さい個体が見つかる、フンが増えるようなら、ベイト剤の置き場所を見直すか、業者に相談することを考えます。
家じゅうを探して回るより、これのほうが正確で、負担も少ないです。
▶ ゴキブリを1匹見た…その瞬間、自宅には100匹!?すぐやる5つの対処法
よくある質問
Q. 乾いてバラバラになっているものを見つけました。同じように片づけていいですか
基本は同じですが、拭き取りを丁寧にしてください。
崩れているということは、その周りに細かいものが散っています。ゴキブリ由来のアレルゲンは、フンや脱皮殻、死骸の破片などに含まれ、アレルギーのある人では症状のきっかけになることがあります。掃き集めるより、湿らせたペーパーで拭き取るほうが舞い上げずに済みます。範囲が広ければ、何枚かに分けて拭いて、そのつど捨ててください。
Q. ベランダや玄関の外で見つけました。放っておいていいですか
片づけたほうがいいです。
そのままにしておくと、風で飛んだり、ほかの虫や動物が触れたりします。集合住宅の共用部なら、なおさら残しておく理由はありません。
ほうきとちりとりで集めて、袋に入れて可燃ゴミへ。屋外なら、屋内ほど神経質にならなくて大丈夫です。そのあと、そこがどこにつながっているか(サッシのすき間、排水口、エアコンのホース)を一度見ておくと、次につながります。
Q. 屋外にベイト剤を置いてもいいですか
屋外用として売られているものなら置けます。
ただし屋内用を外に出すのはやめてください。雨や日光の影響を受けて、想定どおりに働かなくなります。屋外用は雨に強く作られているので、そちらを選んでください。
置き場所は、エアコンの室外機のまわり、植木鉢の近く、玄関のわきなど。使える場所は製品ごとに決まっているので、ラベルを確認してください。お子さんやペットが触れる場所は避けます。
Q. 賃貸です。管理会社に言ったほうがいいですか
言って損はありません。
特に、共用部の排水管まわりや、建物の構造上のすき間が原因と思われる場合は、建物側の対応になることがあります。費用が出るかどうかは契約や状況によるので、まず状況を伝えて聞いてみるのが早いです。
同じ建物の他の部屋でも出ているなら、建物全体での対応になる可能性があります。「うちだけかもしれないから」と黙っている人が多いのですが、伝えないと動きません。
Q. 死骸を放置すると、他のゴキブリが寄ってきますか
そう説明されることが多いのですが、はっきりしていません。
知られているのは、フンなどに含まれる化学物質が、仲間の集まりやすさに関係しているということです(福岡大学の研究グループが2020年に、これを受け取る感覚細胞を特定した研究を発表しています)。死骸そのものについて同じことを示す研究は、見つけられませんでした。
ただ、死骸があった場所にはフンも残っていることが多いので、結果として「放置しないほうがいい」は変わりません。理由が違うだけです。
まとめ|ゴキブリの死骸は触らずに処理できます
この記事でいちばん伝えたかったのは、確認しなくていい、ということです。
生死を確かめてから片づける、という手順が一般的ですが、それは近づいてじっと見ることが前提になっています。先に上から何かをかぶせてしまえば、その判断そのものが要りません。
手順をもう一度まとめます。
- 上から何かをかぶせて、視界から消す(空き容器、紙コップ、ボウル、折った広告紙)
- 触らずに包む、または閉じ込める(容器ごと袋へ/テープ/紙/トング)
- 袋に入れて口を縛り、可燃ゴミへ(ゴミの日まで日数があるなら二重に)
- あった場所を、使い捨てのペーパーで拭く
縛ることと、拭くこと。ここが抜けている人がいちばん多く、私もそうでした。捨て方は自治体によって違うので、お住まいのルールも一度確認しておいてください。
そして、自分で片づけられなくてもいいんです。かぶせておけば、誰かが帰ってくるまで待てます。今日はやらない、と決めてしまってもいい。頼むときは「袋に入れて縛ってから捨ててね」まで伝えると、そこも解決します。
最後に、この場面自体を減らす話を覚えておいてください。
スプレーで仕留めるやり方を主役にしている限り、片づけはセットで付いてきます。ベイト剤に切り替えると、立ち会う場面が減ることがあります。そして入ってくる経路を塞げば、そもそもの回数が減ります。
▶ ゴキブリの侵入経路がわからない…見落としがちな7つの穴と塞ぎ方チェックリスト
▶ ブラックキャップの置き場所と個数は?効果が出る期間も看護師ママが解説
▶ ゴキブリ駆除業者のおすすめ2選と料金相場|ぼったくりを避ける選び方
片づけられないのは、あなただけではありません。私も自分では一度もできたことがありません。それでも家の中で見る回数は減らせました。できることから、ひとつずつで大丈夫です。


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